風と共に去りぬ・続編「スカーレット」(アレクサンドラ・リプリー)感想と考察

風と共に去りぬの続編の「スカーレット」という小説、実は本編と作者が違います。

作者のマーガレットミッチェルの死後に、ファンの強い要望で作られた続編「スカーレット」。
風と共に去りぬの「同人誌」って感じの内容です。
登場人物はもちろんそのまま。
風と共に去りぬの最後のシーンからそのまま続きます。

「スカーレット」の作者はアレクサンドラ・リプリーという女流小説家。
「風と共に去りぬ」とは別の小説家です。

>>この本はユーチューブでも解説しております。

風と共に去りぬ本編を書いた作家のマーガレットミッチェルは、数々の作品を排出しながらも、文豪の誇りゆえか、亡くなる前に自身の手でほとんどの作品を処分してしまいました。
大ファンの私が読んだのは「風と共に去りぬ」と「ロスト・レイセン」のみ。
「ロスト・レイセン」はミッチェル16歳の時に恋人に贈った短編小説が、死後46年後に発見されて出版された奇跡の1冊です。

あまりある才能を持ちながら、多くの作品を自らの手で処分してしまったとは…アーティストとしての誇りを感じますよね。

世界中であまりにも多くの「風と共に去りぬ」のファンが、続編を夢見ていたため、製作陣が組織されました。
(ほっとくと、3流画家が勝手に書きかねなかったので、その牽制のためにも)

マーガレットミッチェルの死後に作者を厳選して、続編を書く許可を与えられたのがアレクサンドラリプリーというわけです。

アレクサンドラリプリーは出版社に勤務経験があり「チャールストン」という作品で有名になりました。
リプリーさんは本編の「風と共に去りぬ」の大ファンで、作品解釈や執筆力の観点から選ばれたとのこと。

「スカーレット」という作品自体は、面白いですが…

やはり風と共に去りぬのスカーレットやレットバトラーとは異なる2人のストーリーという印象がぬぐえません。

風と共に去りぬのスカーレットが16歳から27歳くらいまでだったのに対し、続編の「スカーレット」では28歳~35歳くらいのスカーレットが書かれていきます。
スカーレットは分別を持った落ち着いた女性に変貌していきます。
やはりメラニー不在が大きくスカーレットの人生にのしかかり、自分の至らなさや攻撃性、同時に自分の才能や幸せについてもしっかりと見つめ直して、素敵な描かれ方をしています。
レットバトラーはスカーレットの母エレンよりも年上なので…バリバリアラフィフ…もっと高齢に見える感じで書かれています。
良い感じのイケオジになってますが、攻撃性全開だった若い頃のレットと違い、「疲れて守りに入ったおじいちゃん」感がぬぐえません…。
そしてレットの老いの理由として、しばしばボニーを思い出す描写があって、胸が痛くなります。

スカーレットもレットも、二人とも心から幸せになってほしい。
そんなアレクサンドラ・リプリーの思いが込められた一冊で、大丈夫。ラストに2人とも、おだやかな幸せを手に入れます。

小さかったウェードやエラ、そしてアシュレーの子どものボーの見事な成長も書かれています。
そして、アシュレー自身の、変わらぬ穏やかさや、スカーレットとの関係性も、素敵に素敵に描かれていました。

アシュレーに関して一番うれしい一言が作中にあったので、一つ紹介します。

「アシュレーは生き延びたのだ。」

という一文。
裕福な少年時代。
激動の南北戦争への従軍。
捕虜を経て、無一文の乞食として家族の元へ帰り…。
病弱な妻と小さな息子を抱えて職もなく、仕事の能力も低い。
炎のようなスカーレットに振り回されっぱなしで評判はがた落ち。

けど、「風と共に去りぬ」の中でも、「スカーレット」の中でも、アシュレーはずっとアシュレーのままでした。
穏やかで優しく品性のある、レディファーストの読書家。

貴族の温室の中だけで美しく生きることが許されていたような存在だったのに、
スカーレットと同じような激動の時代に生まれながら、
アシュレーは見事に生き延びたのです。

変わらぬまま生き延びたアシュレーに、誇らしい気持ちが湧きました。彼が一番生きるのに、苦しかったに違いないのに。

「風と共に去りぬ」の作品で特徴的だったのは、歴史的背景をものすごく鮮明に学べたことです。
南北戦争や、奴隷解放宣言のあたりの、立場の違う人々の受け止め方が興味深かったです。

今回の「スカーレット」でも、アイルランドの独立戦争について深く掘り下げられて書いてあります。
スカーレットの父親ジェラルドの故郷で、自分のルーツを知るスカーレット。
貴族のお母さんに似ないで、負けん気の強いパワフルなスカーレットの本質が見えた気がしました。

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