あしながおじさん(ジーン・ウェブスター)感想と考察

金持ち青年が気まぐれに孤児院少女に寄付して、その子と会ったら好みだったので婚約に至った…という、現代なら何らかの犯罪の匂いを感じてしまいますが、貧困世帯少女が幸せをつかむサクセスストーリーとして、今も尚人気が高い作品であることも間違いありません。

孤児院少女が自分に出資してくれた男性に対して「あしながおじさん」と名を付けて、せっせと手紙を書きつづけ、その手紙を連続して読む形式の内容です。
39歳で産後の熱により亡くなった作者も、純粋な人物だったのでしょう。作中によく表れています。

「え、人の手紙読むの退屈」と思うかもしれませんが、さすが文才を買われた少女だけあって、想像力を膨らませる見事な書き方で、一瞬たりとも退屈しませんでした。
絵本と言うにはボリュームありすぎて、しっかりとした文学を読んだ満足感も十分に得られます。

主人公ジュディは孤児院育ちで、必ずしも幸せな子ども時代ではなかった。
心の友は本を読むこと。
同じく孤児院育ちで虐待にあっていたのに、幸せを切り開く「ジェーン・エア」はジェーンのバイブルです。

>>ジェーン・エアの感想はこちら

  • 1912年…あしながおじさん
  • 1847年…ジェーン・エア

あしながおじさんの主人公ジュディは、シャーロットブロンテや、嵐が丘のエミリーブロンテ姉妹に対して敬意をあらわしていて、
ジュディもまた文才溢れる少女なので、女流作家としての道を登る片鱗としても、いいチョイスだなぁと思いました。
宝島やシェイクスピアもジュディのお気に入り図書。
本好きの私にもジュディのチョイスは興味深いです。

あしながおじさんがなんでジュディに正体を隠していたのかは作中ではわかりません。

  • あしながおじさんはジュディへの資金援助は、他の子たちへの資金援助と同じように、「裕福なものの義務」としてビジネスライクにおこなっていた。
  • ⇒しかし、毎週送られてくるジュディの手紙で、ジュディに興味を持って、軽い気持ちで会いに行った。
  • ⇒ジュディが可愛くて魅力的な女性だった。
  • ⇒ジュディが孤児院出身を、恥じて隠していたい気持ちを知った。
  • ⇒孤児院出身であることを恥じないでいられる人間に成長してから、正体を伝えようと思っていた。
  • ⇒だが、最後に求婚した時にも、やはり孤児院出身を恥じて、結婚を断ってきた。
  • ⇒だから、ついに、正体をばらした。

こんな感じかな~と思いました。ジュディが書いてくる手紙を面白がって受け取っている感じではなさそうなんですよ。

好きな女性の本心を赤裸々に知ることは興味があったかもしれないけど、いたずら心で隠していたというよりは、ジュディの気持ちを思いやって、年配の「あしながおじさん」に徹していたのだと思います。

自分に書いてるとは知らない女性からの手紙で彼女の本心を全てわかった上での求婚とか、
男性が圧倒的に恋愛の答えを握ってる有利な状態で、
尚且つフラれるというかわいそうなの状況…
そして寝込むあしながおじさん、金持ちの青年だからメンタル繊細すぎます。

あしながおじさんをモデルにしたとも思える「キャンディキャンディ」を思い出しました。
どっちも「なぜ隠す」ですよねw

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