女の一生(モーパッサン)感想と考察

美しい女性が結婚に失敗して転落していく様子を描いたフランスの名作です。
人が坂道を転がり落ちる系の作品かと思いきや、恐ろしいことに、現代日本でも普通に起きている、普通の女性の話でした…。
客観的に読むとこんなに怖いのに、わが身に降りかかっている時には実感がわいていませんでした。
フランスは近代国家なので、今は違うかもしれません。
日本は令和の今でも、同じような話を聞くので、男尊女卑が根強い国であることは否めません。
「女の一生」の主人公ジャンヌのようになりたくなければ、旦那選びをくれぐれも慎重に…。
けど、救いはありました。
物語の最後にロザリーが言うセリフです。
「人生は、人が思うほどいいものでも悪いものでもない。」
幸せいっぱいで幸福のなかだけで生きている人は稀です。
幸せも不幸も押し寄せてきては過ぎ去り、それらを経験してなお、たんたんと日々を過ごしていくのが人生です。
けれども女の一生の上の名言は、人生の最後の方に、こぼれ落ちてきた大きな幸せに対して、出てきた言葉。
不幸だけが続く人生など、ありえないという希望に満ちた言葉なんです。
悪いカードばかり連続して引いたら、その後は大きないいカードが残っているということです。
いい格言も多いし、ここまで女性の人生を如実に書いた小説を、男性作家が書いていることに違和を感じて、作者のモーパッサンについて調べてみました。
1850年8月5日…フランスのノルマンディー地方で生まれる。幼少期に父親の浮気から両親が離婚。母と弟とパリで生活することになる。
1870年…普仏戦争で従軍し、それ以降ずっと戦争を嫌い、「二人の友」「マドモワゼル・フィフィ」「ソバージュばあさん」「ミロンじいさん」などの短編集でもしばしば戦争を嫌う思いを語っている。
1872年ごろから「ボヴァリー婦人」の著書のフロベールと懇意になり、自然主義文学者として執筆を始める。
1880年…最初のデビュー作「脂肪の塊」を発表。一躍脚光を浴びて作家としての階段を駆け上り始める。
1883年…「女の一生」を発表。主人公ジャンヌの赤裸々な夫婦生活がスキャンダラスな作品として当初は話題となったが、作品の真髄にある自然主義文学の真価により、世界的有名な作品となる。
1893年…長く患っていた精神的病により、病院にて早世。42歳という若さであったという。
わずか10年の執筆活動の中で、6篇の長編小説と、300を越す中短編集を出版。世界に名を知られる作家として、今も愛され続けている作家さんです。
古い話なのにどれも面白い。
才能の塊のような人です!
モーパッサンはエッフェル塔嫌いで有名な人物ですよね。
1889年にパリ万博でエッフェル塔が建設されてからというもの…「エッフェル塔はパリの景観を壊す」と言って、エッフェル塔を見なくて済むために、エッフェル塔のレストランを利用していた、と言われています。
日本では有名なこの逸話ですが、1964年の『エッフェル塔』(ロラン・バルト)に書かれていたことから広まり、モーパッサンが実際にエッフェル塔内で食事をしていたかどうかは定かではありません。



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