幼稚園や保育園といえば、大体が「親が就労するために、子どもを預ける施設」と考えられています。
もちろんそれは間違ってはいません。
しかし今では子どもを預ける保育施設も多様化していて、
「親の就労のために子どもを預ける」ではなく、
「子どもが安心して、毎日を楽しく過ごせるかどうか」が預け先を選ぶ一番のポイントとなります。
幼稚園 | 保育園 | |
所轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
教育内容 | 教育がメイン | 生命・養護がメイン |
預かり時間 | 4時間 | 8時間 |
預かる子どもの年齢 | 3~6歳 | 0~6歳 |
先生の資格 | 幼稚園教諭免許 | 保育士資格 |
申し込み方法 | 各幼稚園で | 自治体の役所で |
メリット | 就学前準備万全 | 安心して長時間預けられる |
メリット2 | 交流関係の幅が広がる | 園によっては幼稚園並みのカリキュラム |
デメリット | 保育料が高い | 待機児童問題 |
今回は幼稚園と保育園という施設はどう違うのかを、
それぞれの特徴なども含めて紹介いたします。
最近よく耳にする「認定こども園」の特徴もあわせてごらんください。
幼稚園と保育園の6つの違いとは?
幼稚園と保育園の6つの違い”]
- 管轄省庁の違い
- 教育、保育内容の基準の違い
- 預かり時間の違い
- 預かる子どもの年齢
- 所有資格
- 入園の申し込み方法の違い
1.所轄省庁の違い
幼稚園と保育園は「子どもを預かる施設」という共通点はあれど、施設の考え方や機能自体は大きく異なります。
その一番の違いというのが「所轄省庁」の違いです。
幼稚園が「文部科学省」に対して、保育園は「厚生労働省」となっています。
これを簡単に説明すると…
- 幼稚園…「文部科学省」が管轄するため、法律的には「学校」と同じ意味合いを示す。
- 保育園…「厚生労働省」の管轄で、「保護者に替わって乳幼児を保育する場」とうい意味合いがあります。
幼稚園と保育園の違いとして、「子どもを預かる施設」なのですが、
幼稚園の場合は「学校」という意味合いが強いという点が、
大きな違いです!
2.教育、保育内容の違い
- 幼稚園…「幼稚園教育要領」に基づいて保育している
- 保育園…「保育所保育指針」に基づいて保育している
幼稚園では「幼稚園教育要領」に基づいて保育、教育を行い、保育園では「保育所保育指針」に基づいて保育を行っていきます。
- 幼稚園教育要領…「教育」がメインで、就学までに育てるべき「生きる力」をどう育てていくかなどが大きく記載されています。
- 保育所保育指針…「保育」がメインで主に「生命・養護」という部分が強調されていて、各年齢ごとに細かく発達に応じた関わり方が記載されています。
しかし、最近は保育園でも教育に力を入れているところもあり、保育所保育指針にも就学に向けて育てて生きたい力などを記載されており、幼稚園と保育園の機能が共通化している部分も多くあります。
3.預かり時間の違い
- 幼稚園…1日の預かり時間は大体4時間程度
- 保育園…1日の預かり時間は大体8時間程度
預かり時間の違いも大きく異なります。
幼稚園の預かり時間
幼稚園の場合は1日の預かり時間は大体4時間程度となっており、それ以降は別料金を支払うことで預かり保育を利用するという形になります。
幼稚園という施設が「教育の場」という意味合いが強く、「保育」ではないので、保護者が就労していなくても入園することができます。
午前中の時間でカリキュラム(プリント学習や英語など)受けたり、就学までに集団生活を経験させたいという考えで預ける方も多いです。
保育園の預かり時間
保育園の一日の預かり時間は大体8時間程度となっており、その後は別料金を支払って「延長保育」を利用するという形になります。
保育園は「保育」がメインなので基本的に保護者が就労しているというのが入園の条件となります。
保護者の仕事の時間の間、子どもの世話をすることができない「保育に欠ける」という事が認められた時に、入園の許可が降りるのです。
幼稚園は「就学前の慣らし」、保育園は「保護者の代わりに保育する」ので、預かり時間にも差が生じます。
4.預かる子どもの年齢
- 幼稚園…満3歳~満6歳の子どもを預かる
- 保育園…0歳~6歳までの子どもをあずかる
幼稚園は「保育」する場でなないので、満3歳~満6歳の子どもを預かり、保育園は「保育が必要な子を保育する場」なので、上は6歳、下は0歳の子どもまでを預かります。
こうして見ると満3歳~満6歳の子どもの受け皿というのは幼稚園、保育園の両方あるのに大して、0歳~2歳の子どもは保育園しか受け皿がありません。
待機児童の多くは0歳~2歳の子どもなので、こういった面も影響していると考えられます。
5.所有資格
- 幼稚園の先生…「幼稚園教諭免許」が必要(一定期間で更新の必要あり)
- 保育園の先生…「保育士資格」が必要(更新しなくてもよい)
こちらは幼稚園、保育園で働く先生が必要とする資格です。
幼稚園の先生は「幼稚園教諭免許」、保育園の先生は「保育士資格」となっています。
ちなみに、一度取得すると更新の心配がない「保育士資格」に対して、「幼稚園教諭免許」は一定期間で更新の必要があります。
6.入園の申し込み方法の違い
- 幼稚園…各園で申し込み⇒面接
- 保育園…各自治体で受付⇒選考
私立幼稚園、私立保育園の場合で話を進めます。
幼稚園の場合は、各園で申し込みを行い「面接」や「考査」などがあります。
保育園の場合は、各自治体の役所にて受付を行い、選考が行われます。
認可外保育園の場合だと、役所を通すことなく、幼稚園のように各園での申し込みとなります。
こども園はどう違う
最近よく耳にする保育施設に「こども園」という施設があります。この「こども園」とは簡単に説明すると「幼稚園と保育園の機能を兼ね備えた施設」です。
就労していない母親の場合は、子どもが小さい時には自分で子育てを行い、3歳頃から「幼稚園に預ける」という選択ができます。
就労が必要な母親の場合は、就労を始めるタイミングが早ければ早いほど保育園に預けなければなりません。
しかし、そんな母親の中にも「2歳までは保育園に預けて、3歳からは幼稚園で学ばせたいな」と考える人もいるでしょう。
そんな時に「幼稚園と保育園の機能を兼ね備えた」子ども園がおすすめになってくるのです。
幼稚園の3つの特徴!
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- 就学前の慣らしになる
- 小学校との連携が図れる
- 保育料が高くなる場合も
1.就学前の慣らしになる
家庭で保育を行うことは子どもとの関わりを深めるために良い事なのですが、子どもは6歳を過ぎると「小学校入学」を控えます。
家庭での保育しか知らない子どもがいきなり小学校入学となると、
環境の変化が大きすぎて対応できない場合があります。
そんな時に幼稚園に1年通わせ、集団を学び、人間関係を形成するだけでも小学校入学がとても楽になります。
幼稚園の特徴は就学がスムーズになるという点にもあります。
2.小学校との連携が図れる
幼稚園の先生と小学校の先生は密な連携を図っています。
交流保育なども多く行っているので、
幼稚園に通わせるだけで「小学校の雰囲気を味わえる」というのは大きなメリットです。
又、お子さんの就学に対して不安がある場合も、幼稚園の先生に相談することで小学校の先生まで行き届きやすいというのも特徴です。
3.保育料が高くなる場合も
幼稚園の保育料は各園の設定にもよりますが、一律の料金となっています。
就労しながら子どもを幼稚園に預ける場合は、4時間の預かり時間では足りません。
毎日預かり保育を利用するとなるとその分の保育料金が加算されます。
幼稚園では昼食の提供も別料金なので、就労しながら幼稚園に預けるとなると、保育料が割高になる可能性もあります。
ちなみに私はフルで働き、
幼稚園…9:30~15:30(通常保育)+15:30~17:00(延長保育)に預けています。
月利用料28,500円+延長保育費3,000円+給食費3,000円=34,500円が毎月の幼稚園代。
プラス、英語5,000円+サッカー6,000円を、幼稚園の先生から保育時間後に教わってるから…
45,500円…。
早く小学校始まらないかなぁ…って感じですw
保育園の3つの特徴!
保育園の3つの特徴”]
- 安心して預けられる
- 多彩なカリキュラム
- 預かり時間が長い
1.安心して預けられる
保育園は0歳から預けることができ、卒園する頃には約6年間も保育園に通うことになります。
これだけ長い期間保育園に通っていると、
子ども自身も「我が家」という感覚にもなりますし、
保育士と保護者の関係も密になるでしょう。
又、保育園は「保育に欠ける子」を預かる施設なので、
本当は家庭でやるべきトイレトレーニングは食事、
生活に必要なことを保育園で指導を行います。
働く親からするとこれほど助かることはありません。
保育施設は「生命、養護」を大切にする場なので、安心して預けられるというのが特徴です。
2.多彩なカリキュラム
幼稚園は教育の場と紹介しましたが、
今では保育園でも幼稚園以上に教育に力を入れている施設は多いです。
プリント学習、音楽、英語、体育などカリキュラム内容も多彩で子ども達は心身ともに成長することが出来ます。
保育園選びのときにカリキュラム内容を重視する保護者も多いです。
「保育園って子どもと遊ぶだけでしょ」というイメージはとうの昔のイメージなのです。
3.預かり時間が長い
保育園は「保育が必要な子を預かる施設」なので、保護者の就労時間に応じて保育時間が決まり、長い子では7時開園の18時閉園までの時間を保育園で過ごす子もいます。
18時以降は延長保育として1時間や2時間の保育時間が設けられており、
施設の機能上、保護者のニーズに合わせた保育時間となっています。
こども園の2つの特徴
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- 保育園と幼稚園の機能を併せ持つ
- 保護者の就労の有無に関係なく利用できる
1.保育園と幼稚園の機能を併せ持つ
こども園という保育施設は2015年から導入された「子ども・子育て新支援制度」によって増設され、今では主流の保育施設の一つとなっています。
こども園の最大の特徴は、「幼稚園と保育園の機能を併せ持つ」ということです。
簡単に説明すると、幼稚園は文部科学省の管轄で主に「教育」、保育園は厚生労働省の管轄で主に「保育」を重視していますが、
こども園の管轄は「内閣府」で、0歳児~2歳児までは「保育」を、3歳児~5歳児までは「教育」をという機能性があります。
なので、こども園で働く職員は、「保育士資格」しか持っていなければ0歳児~2歳児までの担任しか受け持つことができず、逆に「幼稚園教諭免許」しか持っていなければ、0歳児~2歳児の担任は受け持てないということになります。
教育内容の基準にしても、「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」どちらも必要になります。
2.保護者の就労の有無に関係なく利用できる
保育施設を利用する理由として、幼稚園は就学前に集団経験を積ませるため、就学前に「教育」に触れさせたいためなどの理由、保育園は保護者の就労のため、「保育が必要」な場合という理由ですが、こども園では、3つの区分に認定され、区分によっては、就労をしていなくても利用ができる場合があります。
認定の区分は以下の通りです。
- 「1号認定」3歳以上で教育のみを希望する場合
- 「2号認定」3歳以上で教育・保育の両方を希望する場合
- 「3号認定」3歳未満で保育を希望する場合
この内の「1号認定」というのは、保護者は就労おらず、「保育」の必要はないが、「教育」を受けさせたいという人にあたります。
「3歳以上の教育のみ」なので、7時開園18時閉園のこども園でも、「9時登園の13時降園」といった幼稚園のような決まりは出てきます。
13時以降の保育を希望する場合は「延長保育」扱いになり、別料金が発生します。
「2号認定」というのは保護者は働いていて「保育が必要」という人にあたります。
子どもが3歳未満児の場合は「3号認定」で、子どもが3歳以上児になった時点で「2号認定」となります。
こどもの保育先の選び方
- 夫婦共働き…「保育園」か「こども園」
- 保護者が仕事をしていない…「幼稚園」か「こども園」
- 夫婦共働きだが、保育園に入れなかった…「こども園」(か、認可外保育園)
主にこの3つにまとめることができます。ママが働いているのに幼稚園…は少しハードルが高いので、仕事をしばしば休む覚悟をして進むべき道と言えるでしょう。
これまで、幼稚園、保育園、こども園の特徴を知らせて来ましたが、一番大切なことでもあり、保護者の悩みというのは「どの施設に預けたら良いのか」ということです。
保護者の立場になって考えた場合、共働きで仕事中に子どもの面倒を見てくれる人がいない場合は、「保育園」又は「こども園」が良いでしょう。
保育時間の長さ、「自宅代わり」という面では子どもの情緒の安定も図れます。
しかし、昨今は待機児童問題が深刻化しています。
保育園やこども園に入園できないということもあるでしょう。
それでもどうしても預けられる場所を探さなければならない、そんな時には「幼稚園」という選択肢も出てきます。
ちなみに我が家もシングルマザーでフル仕事なのに、長男も次男も幼稚園でした。
仕事が積み重なってる時期はホントに死にそうでしたよwww
通常の保育時間以外は「預かり保育」を利用することで対応が出来ますが、保育園とは違い別料金が発生してしまいます。
保護者が働いてない場合
そういった面で、保護者の就労が理由で子どもを預ける場合は「保育園」か「こども園」が良いでしょう。仕事をしていない保護者なら、「幼稚園」か「こども園」が無難です。
保育時間が短くても保護者が働いていなければお迎えもできますし、就学前の集団の経験にもなります。
また、同じように就労していない保護者たちと知り合い、子どももママも子育ての交流の場が広がるのも幼稚園のメリット。
そもそも就労をしていなければ、「保育園」の長期入所はできないんですけどね^^;
まとめ
幼稚園 | 保育園 | |
所轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
教育内容 | 教育がメイン | 生命・養護がメイン |
預かり時間 | 4時間 | 8時間 |
預かる子どもの年齢 | 3~6歳 | 0~6歳 |
先生の資格 | 幼稚園教諭免許 | 保育士資格 |
申し込み方法 | 各幼稚園で | 自治体の役所で |
メリット | 就学前準備万全 | 安心して長時間預けられる |
デメリット | 保育料が高い | 待機児童問題 |
保育園、幼稚園それぞれ役割や機能が違うということを頭に入れることで、子どもの預け先の選択がやりやすくなります。
しかし、同じ子どもを預かる施設なのに管轄が異なったり、考えが異なるという点で、昔から大きな線引きで区切られてきました。
そこで「こども園」という施設形態が登場。
子ども達が平等に必要な「教育」を受けられる場、保育が必要な家庭ではしっかりと「保育」を提供する場として、その機能が評価されています。
「待機児童問題」と騒がれる昨今ですが、自分の子どもを預ける施設の選択肢というのは、意外と一つではないのかもしれません。
上記記事を読んで、我が子の行き先は「保育園」なのか「幼稚園」なのか「こども園」なのか、パパママで熟考してみてください!
この記事はこの方に監修していただいております。