人間失格(太宰治)感想・考察

「人間失格」は、太宰治さんが完成させた最後の長編小説でした。
そのため太宰さんの「自伝」「遺書」と言われることの多い問題作で、多くの愛書家に好かれています。
芸人で作家の又吉さんも大好きだと言っていますよね。
取り扱いが難しい作品でもありますが、私は「読みやすさ」と「時代背景を知ることが出来る」という点で大好きです。
「人間失格」は1948年の3月~5月に書かれ、1か月後の6月に太宰さんが玉川上水に入水自殺をしたことから「遺書・遺作」と考える人も多いようです。
実際に「人間失格」を読めばわかるのですが、「え、これ太宰さんの自伝?だよね?てことは、入水の理由もこれかな?」と思います、普通に。
「人間失格」を太宰治の自伝と考える根拠を簡単にまとめてみました。
| 「人間失格」の主人公・葉蔵 | 作家・太宰治 |
| 10人以上の兄弟の末っ子 | 11人兄弟の10番目(6男) |
| 海の近い東北産まれ | 青森県生まれ |
| 偶然知り合った女性と入水自殺未遂 | 偶然知り合った女性と入水自殺未遂 |
| ↑自殺ほう助罪でつかまる | ↑自殺ほう助罪でつかまる |
| 妻の不貞に苦しむ | 妻の不貞に苦しむ |
| 女にもてる | 女にもてる |
| 酒と薬で身を崩す | 酒と薬で身を崩す |
↑いかがでしょうか…だいぶ似てますよね。
似すぎているので、自伝とか遺書と考える方が多いのも無理はありません。
主人公の葉蔵は太宰治さんご自身をモチーフにしたのは間違いないと思ってしまいます。
ただ、ご本人の明確な意思表示があったわけではないので、実際にはわかりません。
人間失格は、人間失格と言われるまで落ちていく主人公の物語です。
不幸が続く人生でもありますが、経済的に恵まれている側面もあります。
ただ、主人公葉蔵の弱さの原因は「母の愛を受けていないこと」に限るように思えます。
あとは、お酒好きな体質。
このダブルパンチが、彼の人生を「失格」たらしめているように思えてしまいます。
更に父が、なんでも「人任せ&お金で解決系」の人なので、父は父で「父親失格」に見えます。
夏目漱石とか読んでてもよく思うのですが、この時代の男性のもろさが浮き彫りになってるなぁと思います。
でも、私が平成や令和の「根性で頑張る男性」としか関わってないからで、今の時代だって人間失格の葉蔵のように、もろくて儚い部分はあるのかもしれませんね。
それでも、お酒とか怠惰に100%逃げ込んだりしない、頑張る人は偉い。
転がり落ちてしまいたいときってありますよね。
穴倉に潜って、もう何も考えたくない、となるとき。
私だって子どもたちがいなければ、とっくにそうなっていたかもしれませんし。
情けない自分、弱い自分と向き合うことが出来ない、目を反らしたい人は、そこからさらにお酒が追加して現実を見ないようにすることもセットで起こりえます。
こんな人生投げだしたいと思ったときに、自分を奮い立たせる方法って何なんだろう?
子どもだったり、仕事、生き甲斐が何かあれば、かろうじてその穴に落ちずにすむだけなのかもしれません。
たまに読み直したくなる時、私はよく「第3の手記」を読んでしまいます。
転がり落ちる人をみて、我がふりを直すという、失礼な読み方ですが、このような形で何人もの「転がり落ちそうな人」を、この本は救っているのではないだろうかと考えています。
また、穴倉に潜り込みたくなったら、私を救ってください。
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