風と共に去りぬ(マーガレット・ミッチェル)感想・考察

人生で一冊本を選ぶならコレ。マイベスト小説の風と共に去りぬ、次世代にも次々世代にも色あせることなく語り継いでほしいと願います。

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不思議なんだけど、現代日本ですら「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラが持つ苦しみや自由への飛躍とその代償が…わかることがしばしば。
働く女性…自分の人生を、社会の風習の中にうずめず、自分の力で切り開きたい女性にこそ、読んでほしい不朽の名作です。

時は1860年代…場所はジョージア州クレイトン群。タラという大きな綿花のプランテーションを営む父を持つ娘・スカーレット・オハラが主人公。

「風と共に去りぬ」とはスカーレットという美貌高き女性の17~26歳くらいまでの波乱の人生の一部を描いた物語です。
物語の最初から終盤まで、三角関係の恋愛物語?が主体なのにも関わらず、そこに南部の風習や南北戦争での敗北、女性の社会進出や人権問題が、時代背景として色濃く織り交ざり、物語に息を吹き込みます。

これが「史実」じゃないと信じられないくらいの完成度の高さ。
19世紀のアメリカの歴史書…それも、戦争に勝った北軍ではなく、負けた南部の人の手による自書のように感じる、読み応えたっぷりのフィクションです。

しきたりや風習に押さえつけられて、社会的には演技力で淑女を演じるも、本音は負けん気の強い女王気質の性格悪めの高飛車女。
その胸のうちは、実は小さな恋心のみで作られている健気なギャップもまたいいんです。
しかも、小さな恋心だけ育てていたいのに、周囲は戦争と貧困と大切な人の死であふれていて問題続き。
元プランテーション地主のお嬢様が、貧困の中で多くの家族を養っていくには、こうするしかない!という道を力強く歩んでいきます。
女の貞操もあっさり捨てて、自己肯定しながら生きていく。

もしもスカーレットがほんのちょっとでも「私は最低だ…ダメな女だ…」とか弱音を言おうものなら、途端に物語が成り立たなくなります。
「私のどこが悪い?」
「こうする以外、生き抜く道はある?」
「文句をいう奴はとことんやっつけてやる!」
絶望的な状況の中、身も心も健康そのもののスカーレットが、何度でも何度でも、打ちのめされずに立ち上がる姿は、頼もしく美しいんです。

私なりの見どころをまとめてみました。

STEP
メラニーとの友情

スカーレットの恋敵メラニーは、愛に溢れた優しい女性。
なのにスカーレットはメラニーに対して「愚鈍」「ばか」「子どものよう」「男にモテない」「枯れた女」と軽蔑した想いを抱き続けます。
おいおい、言い過ぎや…と思うし、スカーレットの愚かさが浮き彫りになる点でもあります。

一方でメラニーは、スカーレットの勇敢さや大胆さ、あふれる生命力と強さに惹かれ続け、最初から最後までスカーレットを心底から信頼して愛しぬくんです。

この2人のすれ違いがなんとも悲しい…

敗戦後のタラで、男の襲撃からスカーレットを守るために、そして社会的に不器用で嫌われていくスカーレットを常に支えるために、メラニーがかいがいしく寄り添い続ける頼もしさは「ありがとう!」という気持ちになりました。

メラニーを軽蔑し続けていたスカーレットですら、作中チョイチョイ、メラニーの存在価値を認めざるを得なくなっており、そうそう、わかってくれたのね。と安心できます。

STEP
レットバトラーの愛

レットの愛は重くて粘着質でうっとうしいです、はっきり言って。
すれ違いの多すぎる2人のやり取りに、胃が絞られる場面もしばしば。
レットがスカーレットを愛しているのはわかるけど、ならばストレートに言えや!ってくらい、スカーレットをあおってバカにして軽蔑して言葉荒く「その裏の本音の愛に気が付いてくれ」みたいなメンヘラ気質。
わからんわ!
と読んでて思いました。
男のプライドだか何だか知りませんが、必要な時に必要なストレートな愛を伝えられない点で、レットもまた難物でしたね。
しかも気に入らないことがあると、すぐに酒場の愛人のとこに行くレットもレット。
まぁ、今の価値観だけでは語れませんが…。
「前の旦那みたいにスカーレットにいいように振り回されてたまるか!」みたいな意地が常に感じられて、めんどい男だなぁって感じはしました。
スカーレットはレットを理解するには、若過ぎたのかな?

価値観一緒でお似合いの二人なのに、上手くいかなかったのは多分年齢差が原因です。
オッサンと若い娘の恋愛は、こんな感じですよね、きっと…。

STEP
南部の誇りと風習

南部の貴婦人は小鳥のように物を少しだけついばみ、おしとやかに威厳をもって夫の陰にたたずむ…。
南部貴婦人に課された鋳型は窮屈でスカーレットのような燃える想いを胸に秘めた女性には、本当に窮屈に思えました。

風と共に去りぬがいまだに世界で大ベストセラーで人気が高いのは、この世は完全に「男尊女卑」だからといえます。
つまり、スカーレットが抱えている「窮屈さ」は、今でも多くの女が抱えているものだということ。
「女はこうあるべき」から、抜け出したい女性が、今よりももっと縛りがきつかった時代に、華々しく自分らしく生きたスカーレットを指示し続けるのは、スカーレットがかっこいいからです!

風習通りに生きずに、自分らしく生きるスカーレットの爽快さ。
スカーレット自身はバカだし愚かだし視野が狭いし自己中だし、性格悪いんですよね、実は。
でも、指示せずにいられないのは、多くの女性がスカーレットのように自分主体でわがままに生きたいと願っているからなのだと思います。

一方で、スカーレット以外の女性がダサいかというと、そうでもない。

スカーレットの母も、メラニーも、マミーも、インディアですら、風習の鋳型の中で、「その中でも最上であろう」と粛々と人生を捧げている素晴らしさが垣間見えるんです。
南部の貴婦人の鏡であることもまた、尊敬すべき存在のように、美しく書かれているのもこの作品の良いところだと思います。
彼女たちは決して時代に押しつぶされて言いなりの傀儡ではなく、それはそれで「決められたルール内で自分らしく戦う」カッコよさがあるんです。特にメラニーは。

南北戦争という史実の中のストーリーだからこその臨場感ある作品の舞台が、「風と共に去りぬ」をいつまでもベストセラーに押し上げる所以ですよね。

私は風と共に去りぬのファンなので、何度も読み返しますが、読んだことない人に勧めるのはちょっと気が引けます。
なぜなら「長すぎる」から。
面白いとわかってても、ちょっと気が引けますよね。

映画は「原作と全然ちがうー!」という仕上がりなのでおすすめできません。

小説読むのだるいけど、風と共に去りぬをちょっと知りたいと言う人には、マンガがおすすめです。(→漫画のAmazonリンクはこちら
全5巻で、古本屋とかでまとめ買いできるかもしれません。

この漫画は、原作ファンの私からすると、映画版よりもよほど原作ストーリーに忠実で近い内容なので、原作の内容をさらうのにちょうどいいと思います。 

主人公スカーレットは見た目こそ美しく商才もあるけど、正直すぎて愚かな人間として描かれています。

けどスカーレットのすばらしさは、どんなに苦しいことが起きても「寝よう。悪いことはみんな明日考えよう。明日にはきっといい考えが浮かぶ」と言えること。

絶望の底から何度も何度も這い上がる強く孤独なヒロインを、愚かだとしても、好きにならずにいられない名作です。
辛いことは風と共に去り、明日は明日の風が吹く。

私たちも絶望の底から、何度でもそうして立ち上がる強さを、見習いたいですね。

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