坊ちゃん(夏目漱石)感想・考察

日本人が大好きな明治維新後の日本が舞台です。
ペリーが来て江戸幕府が終わった直後、庶民はどのように暮らしていたのかがものすごくよくわかる歴史書的な立ち位置でも、私は興味深いと思ってる作品です。
坂本龍馬、西郷隆盛さんらが花と散った後、彼らの血を吸った日本はどのように変化したのでしょうか。
夏目漱石はとにかく読みやすい!
小説として読みやすく、キャラも立っているのですらすら読み進められます。
都会生まれの坊ちゃんは、幼少期は明治維新の時代の流れを感じながら育ったのに、成長して教師になった赴任先は愛媛県松山市。
現代でも「田舎って昭和時代の価値観なの?」と思うことがありますよね。
坊ちゃんの時代も、更にそのように感じるほど、都心部と田舎の価値観の格差が大きいんだなぁと思いました。
しかも教員というヒエラルキーのある職場で、いばりちらすタイプの上司だと大変だ…
なにも坊ちゃんの時代に限ったことではなく、今でもこんなこと起きえます。
今ならネットで晒されるのかな?
そして、現代でも言えるけど「汚い上司の前に正義感なんて何の役にもたたん」ですよ。
坊ちゃんの正義感の強いキャラはよくわかるけれども…
大人しく穏便に、流れに身を任せる方が無難でもめごとの少ない人生を送れますが、真逆を行く坊ちゃんは、想像通りの人生を行くんですよね。
にしても、坊ちゃんの敵対勢力の教頭「赤シャツ」は何歳設定なんだよw
老齢かと思ったら、若い女性をねらいおって…でも現代でもいるか。
しょうがないやつですが、この時代普通にこんな奴がのさばってたのかと思うとぞっとします。
個人的に坊ちゃんのような無鉄砲なタイプは、いつの時代も損をするし、周囲の支持も得られにくい。
私は愛すべきキャラには見えなかったけど、最後まで自分らしさを貫いた坊ちゃんは偉いな~と思いました。
坊ちゃんを坊ちゃんたらしめた母親代わりの下女・清(きよ)あってのキャラだなぁと。
「斜陽」(タイトルタップで斜陽の感想ページに行きます)でもあったけど、明治維新でそれまで天皇家の親戚とか公家的な立ち位置で華族として税金によって生活していた人たちが、急に地位を奪われ平民に落とされます。
坊ちゃんの家もそんな没落貴族。
後継者問題に悩まされている現代日本の皇族を想うと、「もうちょっと残しといてもよかったのでは?」なんて思ってしまいますが、軍備拡張した時代に、国として余計な出費を押さえたかったのかもしれませんね。
坊ちゃんは教員としても空振りばっかりで上手くいきませんが、これはもう、赤シャツたちのせいというよりも…坊ちゃん自身の人間性が、教員に向いてないとも思えました。
最後は坊ちゃんの正義感を「良い話」風にかいているけど…なんか時代だなぁって感じで、こんなのカッコよくもないような…でもこの時代はこれでよかったのか?
教育委員会に訴えてもダメだろうし、仕方ないのか。
にしても坊ちゃんの「親譲りの無鉄砲さ」というキャラによって、人生がたがた。
子どもの頃から、自分のあるがままを受け入れてくれる清の元に帰って、自分自身を大事にしてくれる人を、自分も大切にしようという結論に至った気がしてよかったです。
関係ないかもですが、夏目漱石の奥さんの名は鏡子(きょうこ)だけど、本名はキヨ。
夏目漱石の他の作品『彼岸過迄』『門』にも、キヨは下女として度々登場します。
いつの時代も女性姓に「どんな自分をも受け入れてくれる母性」を求めてきてんな~と、やれやれと思います。
夏目作品はめっちゃ面白くて好きなのですが、「こころ」も同様に女性蔑視がすごすぎる。
男性にとって都合のいい空気感のような女性描写ばかりで、女の気持ちをこの物語の中で深堀しよう!という気持ち皆無な感じがかえっていさぎよく、「この時代、女ってこんな感じだったんだな」と受け入れることが出来ます。
ただ、夏目漱石の奥さんは、どっちかというと「漱石が手を焼いていた」感があるので、坊ちゃんの清のモデルではなさそうです。
あるがままの正直な自分自身を受け入れてくれる人がいるだけで、人生は救われますよね。
女性にとってそれは、相手の性別や属性はこだわらないけど、男性にとっては「女性がいい」みたいなところ。そういうとこー。
ちなみに二宮君の実写版坊ちゃんの映画には、芸人の又吉さん出てきます(笑)
坊ちゃんが下宿先で夏目漱石に会うシーンの、夏目漱石役が又吉さん(笑)

感想・レビュー