二人一組になってください

ものすごく面白かった!
1時間ほどで読み切れました。
現代のいじめに対して、「加害者を罰せよ!」と言えなくなるほど、加害者以外の傍観者ですら罪が重いことを浮き彫りにしています。

女子高という限られた空間の中で、はっきりとわかるヒエラルキーや、それをしっかりと自覚している生徒たち…シュールすぎる現場の情景が目に浮かびます。

「自分は中の中である」と認識している中で、「上の上の子が自分と2人一組になってくれるわけがない」と割り切る違和感。
例え命がかかっていたとしても、「下の下」の生徒と「上級」の生徒が手をつなぐという発想に繋がらないほど、彼女たちは上下関係に深く縛られているのです。

1クラスの生徒が2人一組になる確率よりももっと低い確率を、彼女たちの上下意識が作り出している。そして死へと向かっていくのです。

生きるためならヒエラルキーなど気にせずに、全員と手をつなげばいいのに…?と思ってしまう私は、まともな人間なのかな…?と思ったけど、よく考えると私も命がかかった場面でも、犯罪者や浮浪者と手を取り合って協力するかどうかはわかりません。彼らを当然のように「普通の人」の中から除外してしまっている差別意識が、無意識化に自分にもあったのかもしれない。

大人の自分でもそう思うのであれば、子どもたちの差別意識を是正することなど、大人には不可能なのかもしれない。

そんな風に考えさせられる問題作でした。ぜひ読んでみてください!おすすめです。

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